昭和初期の街並みと路面電車の組み合わせは記憶を生み出す鉄道模型

ジオラマ

展示会会場などで昭和初期の街並みを模したジオラマの中を走る路面電車を目にしたとき、あたかもその場所に住んでいたという既視感を感じることがありませんか?「あれ?このお店入ったことが無いのに中の様子が想像できるぞ」と思ったり「この電車、椅子が硬かった。乗ったことはないのだけれど」と想像してしまう事がよくあると思います。これは実に不思議な事です。

年配の方ならば古い町並みや大自然を模した風景に、似た自分の思い出を重ねる事もあるでしょう。
しかし、年代も違う人たちが全く見慣れぬ場所であるにもかかわらず、なぜ自分の記憶にないはずの懐かしさを感じさせるのでしょう。これには、鉄道模型ならではの「思い出を作る」力があるのではないかと考えてしまいます。

昭和の街並みを模したジオラマは写真でも表現できますが、写真は時間と光を切り取った世界です。それとは違いぐるぐると回る鉄道模型の躍動感が催眠術のように見る人をジオラマの世界に引き込み、疑似体験を与えるのかもしれません。それは写真では到底出来ない、鉄道模型ならではの素敵な力です。

疑似体験の中で、見る人々はいろいろな感情を抱くでしょう。自分達はあの電車の中に居たのでしょうか。それとも走る姿を外から見ているのでしょうか。それとも、あの走る電車自体に自分の人生を投影しているのでしょうか!?
じっくりと鉄道模型を観察している時、自分で意識する事無く「自分が昭和初期の街並みの中で暮らしていた」という疑似記憶が次々と産み出されていきます。これが既視感の正体でしょう。

電車の夢は自分の人生を表すという説もあります。それはひょっとしたら鉄道模型の不思議な力によって、自分が違う人生を辿っていた世界を垣間見たのかもしれません。

鉄道模型の王道